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暗闇で恋しましょう

第22章 変化

どう考えてもわざとのそれは、髪についての恨み辛みでも含まれてるんだろうか。


だとしたら、お門違いだと思うのだが?


だって、それをされてる時の杏の顔、大層嬉しそうだったのを俺はこの目でしかと見た。


何が嬉しいのかはよく分からんかったが。


それに櫛でとくくらいをなーにが、“セット”、だ。


そもそも、家に櫛なんてあるのかも謎だ。


そうすると、“セット”をしたのかも怪し



「ひーちゃん?」



声が近いと思えば、いつの間にやら杏の顔は目の前にあって。



「………なんだよ」

「聞こえるっていうか、顔に出てる。絶対今、心の中で私に文句言ったでしょう」



びしーっと図星をつかれれば、そうですと言わざるを得ない。


でも今日は、そう易々と杏にとってのマイナスは言っちゃいけないことくらい、分かっている。

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