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暗闇で恋しましょう

第22章 変化

覗く瞳には少しの恐怖が見えて。



もう少し止め方、考えれば良かったか?



杏に優しい、そんな自分が顔を覗かせる。


若干の鳥肌はスルーして、とりあえずは頭に浮かんだ言葉を吐いてみる。



「………………た、だいま」



想像していたよりもずっとぎこちなく、上擦った声が出てしまった。



うわぁ……マジか……

俺、思った以上にこの状況に戸惑ってんのな……



心中では冷静にそんなことを分析してるけど、身体はそうはいかないらしい。


変な汗は止まらないし、視線のピントもどうにも杏に合わない。



あーあ……だっせーなぁ……



かっこよかった試しなんて、生きてきてこの方1度もないけど。


もうこの際だ。


ださい、と嘲笑ってはくれないだろうか。


逃げた卑怯者、と責め立ててはくれないだろうか。

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