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暗闇で恋しましょう

第22章 変化

俺の移動した位置は戸の影になる場所で、俺がいることに杏は気付いてないらしかった。


それにしても、杏の言葉。


こんなひどいことをした俺でも、待っていたのか。



胸が締め付けられるんだが?



俺らしからぬ感情。


落ち着かせてからでないと、杏の言うことを何でも聞いてしまいそうだ。


だけど、杏に伝わる訳もなく。


またゆっくりと戸が閉められていく。


俺は反射でその戸を、片手で止めてしまった。


ひぃと小さく悲鳴が聞こえたのは、手だけがいきなり出てきたからだろう。


こうなってしまえば、姿を現さないわけにもいかず。


もう1度浅く息を吐き、ひょこり顔を覗かせれば、フードとマスクで顔を隠す杏が見えた。

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