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暗闇で恋しましょう

第22章 変化

こんな気持ちになる資格はないって、分かってる。


だって、この戸の向こう。


杏はきっともっと沈んでるし、俺のことでやきもきしてるんだろう。


加えて、祥人まで居やがった暁には………


正直、考えたくもない。



だけど、全て受け入れねぇと



本来なら簡単に躱せるであろう杏の言葉も、いるのなら長くなるであろう祥人の説教も。


すぅと息を吸い、はぁと吐いて一呼吸。


重々しく見える戸を開けるため、ドアノブに手をかけようとした時。


勢いよくドアノブが回った。


瞬時に脳みそは“開く”と判断。


体を戸の当たらない位置へ移動する。


ドアノブの回り方から戸の開き方を推測しての行動だったが、割に戸はゆっくりとした動きで。



「……………あれ?ひぃちゃんの足音だったと思ったんだけど………」



ポツリと小さく呟かれたその声は、杏の声で。

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