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暗闇で恋しましょう

第12章 1つ、また、1つ 嫌な、こと

正直微妙な気持ちだが、その俺への甘さを利用しているのも嘘じゃない訳で。


今回だって、忘れ物は帰る口実でしかなかった。


眠さで死にそうだったあいつの様子が気になって気になって。


とにかく家に1度帰りたい。


そう思った時に、思い出したのが忘れ物。


とりあえず理由付けにと引っ張り出したんだけども……



なんかもう“1度家に戻ります”とはっきり言っても、許可下りちゃう気がしてるよ。俺




次はそうしようと心に決めてる内に見えてきた我が家。


ボロい鉄製アパート。


正直、幾度なく悩んだんだ。


引っ越しのこと。


杏は文句1つ言わないどころか



『どう考えても可憐な少女の住むところじゃないし、世間へのカモフラージュにぴったりじゃない!』



なんて喜んで見せたが、それが本心でないことも分かっている。


でも、杏の言葉が一理あるのも事実。


そんなことをうだうだ考えている内に、あっという間に杏は16になってしまった。

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