
暗闇で恋しましょう
第12章 1つ、また、1つ 嫌な、こと
.*・゚side 飛翠.*・゚
家への路を行く最中。
思い出すのは上司との会話。
『忘れ物、したので一旦帰ります』
『あぁ、分かった』
にこやかに間髪入れず承諾してくれたけども、あんた、それで良いのか。
一応、“上司”って肩書きの元働いてるってんなら、“忘れ物とは何か”くらい聞いてもいいんじゃなかろうか。
だって、もしそんなものなくて、ただサボりたいだけの口実だったら、とかよ……
忘れ物は嘘ではないけどよ……
言った俺が言うのもあれだが、就業中に取りに行かなきゃならない程、急を要するものでもない。
そう。そうなのだ。
俺は、あれを就業真っ只中に言ったのだ。
それであの2つ返事。
これは、俺は楽だしと喜べばいいのか、なんなのか。
