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暗闇で恋しましょう

第12章 1つ、また、1つ 嫌な、こと

もう、大丈夫だと思ってたのに。


幼い頃を少し、思っただけで、“あの時”の感覚が、記憶が、私を襲い、苦しめる。


私は、ひぃちゃんが好きなのに。


自信を持って言えるのに。


この体は、記憶は、気持ちは………


未だにひぃちゃんへの恐怖を残している。


息は上がり、変な汗は吹き出て、震えだって止まらない。


体育座りをし、ぎゅぅと自分を抱き抱える。


そういえば、ここに来た頃の私は、これが常だった。


ひぃちゃんの声に返事などせず、隅でただ縮こまり、気配を消して……



あぁ……もう……



過ぎるのは、また、嫌な、思い出。


嫌なことというのは、どうしてこう、次から次へと溢れるのだろう。


思い出したくなのに、それはいけないと誰かに忠告されているみたいだ。



お前に恐怖を植え付けた男にお前は恋をしているのだ

それはいけないこと

そのことを忘れるな


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