
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
優しくシャワーを顔に当てられて、軽く目を擦られる
段々痛みが薄くなってきたからお礼を言おうと目を開けると
「!」
敦史さんに唇を奪われた
ガタン、と大きな音を立てて浴室用の椅子が転がる
椅子が低くて助かった
お尻あんまり痛くない
って、そうじゃなくて
「何……するんですか、急に……っ、びっくりするじゃないですか……」
焦りすぎて拒絶するようなことを言ってしまったけれど、そんなことで傷つく敦史さんではなく
「仕返しだよ。あん時の」
と言われてしまう
あの時?
あ、体育館裏で僕がキスした時のことかな
「だからって今……っん……」
敦史さんにプリプリ怒っていると、今度は悠史さんにキスをされた
「悠史さんっ……!!!」
「ふふふ、ごめんなさい。あんまりにも千秋さんが可愛らしいので……ここも、可愛いですよ……ここも……」
「えっ、……ぁ、ん……」
悠史さんがシャワーで流して泡のなくなったお腹や胸にキスを落としていく
「あぁでも、失敗しましたね。お風呂なんかに入らなければ千秋さんの汗が流されたりしなかったのか……」
小さい声でそう呟く悠史さんには僕の反応はもう見えてないだろう
