
言葉で聞かせて
第5章 再発
そういえば、何であの症状が出てきて千秋といられなくなったんだ?
「なぁ、悠史」
「なに?」
「どうして、千秋といられなくなった?」
「……」
俺の言葉に悠史は固まった
なぜか、俺の心臓も強く鼓動を刻んでいる
なんだ?
なんか、答えを聞きたくないような
悠史の答えを聞いたら、俺にも大きな影響がある
気がする?
悠史は一度大きく息を吸って、吐いた
「ーー僕は」
聞きたくない
「千秋さんのことが」
やめろ
言うな
「好きなんだ」
胸の奥にチリ、と痛みが走った
口の中が
甘いような
苦いような
「気持ち悪い、よね……」
その言葉は昔も聞いたことがある
でもあの時聞いた時と俺の感情がまるで違う
「でも僕、本気で……千秋さんのことが好きなんだ。好きに、なっちゃったんだ……」
俺は、言葉を選びながら悠史に問いかけた
「男、だぞ?」
「うん」
「千秋も悠史のこと好きになる可能性、低いぞ?」
「うん。わかってる」
悠史の目はまっすぐ俺を見ている
俺の中の全てを見透かすみたいに
「それでも僕、千秋さんのこと好き」
3度目のその言葉を聞いて、俺の中で何かが脈打った
「悪い。悠史………」
「?」
「俺も千秋のこと……好きかも…………」
