
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
「はははっ」
「ふふふっ」
夜中だからって声を抑えながらアホみたいに二人で笑って
「「……」」
訪れた沈黙に、俺はコーヒーを飲んだ
「僕ね……」
俺が缶から口を離したと同時ぐらいに悠史が話し出す
「僕やっぱり、エリカさんと結婚することにした」
「…………は?」
俯いて、缶コーヒーを見ている悠史が俺には目を向けないまま話を続ける
「今日話していて思ったんだ。例え子供が出来ていなかったとしても、僕がエリカさんを傷つけたことには変わりないんだって。それなら責任を取るべき、でしょ?」
そう言うと悠史は缶コーヒーを一口飲んだ
「だから僕、エリカさんと結婚する」
は?
責任?
結婚?
さっきまで笑いあっていた兄弟が、今は言葉の通じない異世界人に見える
「は?いや、待てよ。結婚?正気か?」
だってお前、調べるって言ってたじゃねぇかよ
それで本当だったらって
なのになんで妊娠が偽物でもなんでことになるんだよ?
俺の動揺を感じ取ってか悠史がへら、と笑った
「敦史動揺しすぎ。……正気だよ、ちゃんと」
そうして俺を見た悠史の目が、確かな意思を持ったもので
ふざけてるようになんか見えるわけなくて
何言ったらいいのかわかんねぇよ
