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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


店を出てどこか座れるところに入るか、と悠史に訪ねると


「店員さんがいるところはちょっと……」


と言葉を濁された


「あ?外でいいのか?」
「うん。コーヒー奢る」


そう言って少し家の方に歩いたところの人通りが少ない通りで立ち止まった

歩道の縁石に腰掛ける


高校に戻ったみてぇだな?
路上にたまったりしてよ


昔を思い出して夜空を見上げた


こんだけ夜まで明るいと、星なんか見えねえな


曇っているわけでもないのに真っ暗な空が不気味で視線を道路に戻すと、悠史が缶コーヒーを買ってきていた


「はい」
「サンキュ」


夜風で冷えた手に温かい缶がしみる

プルタブを開けて一口飲むと、酒で鈍った舌に少し遅れて苦味が広がった


「はぁ……」


ため息とともに疲労感を吐き出すと、それを見た悠史が横で笑う


「ふふ、仕事に疲れたサラリーマンみたいだね?」
「あぁ?うっせ」


笑い声を漏らしながら自分のコーヒーに口をつけた悠史が俺と同じようにため息をついた


「お前だっておっさんみてぇじゃん」
「酷い。僕はおっさんなんて言ってないよ?」
「仕事に疲れたサラリーマンのお兄さんみたいだって意味だったのか?」
「それは……」


はっ
バレバレだよアホ

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