
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
「お疲れ様です」
「お疲れ」
仕事が終わり、裏で荷物を纏めていると悠史が控え室に入ってきた
「お疲れ様、敦史」
「あぁ」
横に歩いてきて荷物を漁り始めた悠史を横目で見ると
「!」
おいおい
顔真っ青じゃねぇかよ
「悠史」
「なに?」
「大丈夫か?」
俺の問いに悠史は首を傾げている
「なにが?」
「すっげー顔色悪いぞ?」
「え……」
悠史が壁一面に設置されている鏡を見て驚いたように目を見開いた
「あ……れ……?」
「だろ?」
「ほんとだ」
俺は自分の手で顔を触って確認している悠史の額に手を当てる
「熱は……ねぇよな?」
「うん、多分」
生気のない目を向ける悠史に俺は
「話あるんだったよな?家じゃダメなのか?」
と問いかけてみた
悠史はううん、と唸って考えている様子だったが「出来れば外がいい」と言う
まぁ今日あの女来てたし
十中八九あの女のことだろうな
「そうか。じゃ、早めに切り上げて帰ろうぜ。千秋も待ってるし」
「うん……そうだね」
礼を言って目の前の荷物に視線を戻した悠史を少しだけ見てから俺も自分の荷物を纏めた
