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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


俺はそっちに視線を移すこともなく女の頭を自分の肩に引き寄せた


「きゃっ!?」
「いいからお前は黙って大人しくしてろ」
「……うん……」


おいやめろ
視界の斜め下からハート飛ばすな


俺は真っ赤な顔をして恥ずかしがっているらしい雰囲気を感じ取って、心の中で舌打ちした


ほんと俺の客はドエムばっかだな?


だが今は好都合、と視線を悠史に注ぐ


人が動くのに合わせて見えたり見えなかったりする悠史は他の客と大差なくあの女と話している


特に問題ねぇ、か……?


俺が安心し手をグラスに注がれた酒を飲むと、黒服が俺の元へとやってきた


「流星さん、ご指名です」
「あぁ。またな」
「あーあ……やぁっぱり短かった………けど、満足……」


はぁ、と桃色でもしてそうなため息を吐いた女を置いて俺は次の席へ

悠史に少しでも近づくことを期待したんだが


「りゅーせーー!!!待ってた!」
「あぁん久しぶり流星!!すっごい久しぶりーー!!!」
「……」


こんなうるせぇのがいたら席が近かろうが遠かろうが悠史を気にしてる暇なんてねぇじゃねぇか

しかも


「失礼いたします」


と下がっていく黒服を見て


俺一人で接客かよ
おい


絶望した

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