
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
「……」
一回冷静になると、ここまで振り切れるエリカさん面白くなって来たかもしれない
結婚?
僕が一生を捧げるのは千秋さんだけ
貴方じゃない
たとえ離れたって心は千秋さんの傍に置いていく
これだけは譲れない
僕は穏やかに微笑んだ
「エリカさんにはきっと僕なんかよりもっと素敵な男性がいますよ」
「悠史……?」
エリカさんは傷ついた顔をする
こんなに表情をころころ変えられるのは一種の才能だと思う
女優さんとか、向いてるかもしれませんね
「お酒、何飲まれますか?キープされているボトルが沢山あるので、それを開けましょうか」
僕が平然とはなしかけていると、エリカさんの手が握り締められていることに気づいた
「…………妊娠したって…………信じてくれていないのね…………」
そうしてエリカさんから発せられた声はそれまでより少しトーンの落ちた声
威圧?
そんな声を出しても怖くないよ
僕が黙っているとエリカさんは鞄を漁り始めた
「?」
「…………悠史は逃げられないの。私のものになるしかないの。だって………」
「!?」
そうして机に置かれたものに、僕は目を見張った
「ね?逃げられないでしょう?」
