
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
どちらもアフターに行かなかったことを千秋さんに驚かれつつも、仕事に行ったことは疑われなかった僕たちは普段と変わらず眠りに就き、朝を迎え、出勤した
「店長かオーナーに相談すべきかな……」
「あー……まぁ、どっちでもいいんじゃねぇか?あんまり頼りにはならなそうだけどな」
「うぅん……だよね……僕の不始末だし」
僕が唸っていると敦史が僕の頭を軽く叩く
「そんなことより今日は他に目的があんだろ」
「うん。そうだったね」
敦史の言う今日の目的とは、お店に数多く訪れる社長令嬢たちからエリカさんの情報を聞き出すこと
最近の発言や行動を聞き出せば、どのような経緯で僕に妊娠の報告をしに来たのかがわかるだろうから
「あの女のことだ。本当に妊娠してんだったらお前だけじゃなくて他の女どもにも言いふらしてんだろ」
「……だといいな」
お客さんから何かを聞き出すために会話を誘導するのってちょっと緊張する
「ふーー……」
頑張ろう
深呼吸をひとつして、顔を上げる
開店時間になり新人がお店の扉を開けると、お客さんがどっと流れ込んできた
「聖夜ぁ!来ちゃったっ」
「いらっしゃいませ。お待ちしてました」
僕が腕にしがみついてきた女性に笑顔を向けると
「ちょっと!!!!私の悠史に触らないでよ!!!!」
と大きな声がした
