テキストサイズ

言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


敦史が苛立って視線をうろうろと彷徨わせている間、僕の心の内も荒れていた


だって口に出したら
色んなことが現実味を帯びて襲いかかってきたから


「…………」
「……とりあえず、あの女のこと調べるぞ。お前がどうこうはその後だ」


顔を上げると、敦史と目があう


やっぱり怒ってる、よね
なのにそんなこと言ってくれるんだ
優しいね


僕は出来る限り穏やかな微笑みを浮かべた


「うん。そうだね」



その後敦史と千秋さんには無駄な心配をかけないようこのことは伏せておこう、とかどう調べるか、を話し合った


「まぁ、偽装してるとしたら大好きなパパが金出してるだろうな。あの女自体に金も権力もねぇだろ。月の小遣いが馬鹿高えんだよな」
「でも会社が大変な時にそんなことするかなぁ?」
「……それも、そうだな……とりあえず病院突っついてみるか」
「そうだね」
「診断書の主治医の名前覚えてるか?」
「うん」


千秋さんに疑われないよういつも通り仕事をしつつ調べる
それも、急いで


結構大変だけど
千秋さんと離れることになっても千秋さんを好きでいるためには、伴侶の存在は邪魔になるからね

頑張らないと

ストーリーメニュー

TOPTOPへ