
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
「とりあえず、こんなとこで話すことでもねぇし移動するぞ。そこでお前の勘違いも晴らしてやるよ」
「勘違いですって?失礼ね」
そう言いながらも動き出した敦史にエリカさんはついていく
僕はその二人を眺めながら頭の中を必死で整理した
移動した先のお店は、半個室のようになっているレストラン
話を周りに聞かれないように敦史が考えてくれたんだろう
「…………で?お前のその勘違いはどっから飛んできたんだ?」
「勘違いじゃないって言ってるでしょ!悠史の弟だからって生意気よ」
「チッ、話になんねぇ」
「私だって貴方と話に来たわけじゃないんだけど。ーーねぇ、悠史?結婚式はいつ挙げる?新居はどこにしましょうか?公園が近くにある素敵なマンションを見つけたんだけどね……」
どこから取り出したのか式場の案内や住宅情報誌まで机の上に広げたエリカさんは熱心に語る
「待ってください、エリカさん」
「なぁに?」
おかしい
全部おかしい
「僕、お客さんと性行為をする時には必ずコンドームを着けていましたよね?だから貴方とする時も避妊はしていたはずです」
「悠史ったら可愛い。何にも知らないのね。コンドームの避妊率は100%じゃないのよ?それに、恋人同士がそんなものつける必要ないじゃない」
