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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


そしてエリカさんはにっこりと微笑むと、僕に一枚の紙を差し出してきた

その紙の一番上には日付と『診断書』の文字


「悠史見て?喜んでくれるよね?」


今はその女性の微笑みが狂気的にも見える

その診断書に書いてある文字を読むのが先かエリカさんが言ったのが先か


「私、妊娠したの……!!貴方の子よ?」
「!?」
「は?」


呆然とする僕達を無視してエリカさんは話を続ける


「あぁ、本当に嬉しい。昨日この診断書が出たの。それで早く見せたくて出勤前から来ちゃった……迷惑だった?」
「いや、待て……それは本当に悠史との子なのか?その診断書も本物なのか?」


敦史が僕より早く理性を取り戻してエリカさんを問い詰める

エリカさんは敦史の言葉にプンプン怒って見せるだけだった診断書を敦史に手渡した


「失礼ね。本物よ!それに私は彼氏だって悠史が初めてで、もう2年も付き合ってるのに疑われたくないわ!」


2年?付き合ってた?


「僕……エリカさんとお付き合いしてましたか……?」


動揺した頭からやっと出した疑問にエリカさんはこれ以上ないほど悲しそうな顔をする


「何言ってるの?あんなに優しくしてくれたじゃない……それともなに?私のことは遊びだったって言うの?」
「……」


なにがどうなってるんだ……

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