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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


動揺する僕と反対に敦史は自慢気な面持ちで


『似合うか?』
『え?え、と……』


似合う、かな?
突然のことだからやっぱり違和感はあるけど

純日本人だと思えないはっきりした顔立ちに、僕にはない勝気な目

厳ついかと言われれば厳ついし、チャラい?けど


『似合うよ』
『よっしゃ!俺これからずっとこれで生きていくわ!』
『えぇ!?就職とかどうするの!?』


んな細けーことはどうでもいんだよ!と豪快に笑っていた敦史が懐かしい

今はあんな屈託のない笑顔を見ることはない


大人になっちゃったのかな
お互いに


千秋さんを起こさないようにそっとベッドに入る


なんか、今度はちゃんと寝られそう


昔懐かしい自分たちの若い姿とあの頃から変わらない弟の優しさを思うと幸せな気持ちで胸が溢れる


とりあえず今日の考えは保留

自分たちの老後とか敦史に言わせれば「細けーことはどうでもいんだよ」ってことで、その時になったら考えよう

千秋さんの件に関してはーーあれだ

僕がもっと好きになるに足りる人間になればいい
そしたらきっと売り上げも上がってお給料も上がる

良いことづくし!


敦史のおかげで取り戻せた前向きな考えで精神が安定した僕は、疲れていたのかすぐに深い眠りに落ちた

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