
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
僕の様子にあんまり薬を飲む気がないということを悟ったのか、敦史が溜息をついた
そして僕の手を引いてリビングに連れていくと薬と水を渡してきた
「ほら、飲め」
「……」
ここまでされたら飲むしかないな、と僕も反抗せずに薬を飲む
僕がちゃんと薬を飲んだのを確認した敦史は僕から受け取ったコップを流しに置くと僕の背中を追いやるように押してきた
「寝ろ。おやすみ」
「お、おやすみ……」
部屋の中にまで押されて入って、敦史にドアを閉められる
呆然としていた僕だけど
「ふっ……ふふ……」
時間が経ったら笑いがこみ上げてきた
本当に、良い子だなぁ敦史は
あんなに悪ぶってるのに
僕は敦史がある日突然金髪に染めてきた時のことを思い出した
『ただいま!』
千秋さんには話さなかったけれど、敦史はあの後『本当に喧嘩するのをやめたって証だ』なんて変なこと言って坊主頭にした
周りからの評判は最悪だったけどね
その敦史の髪が元より少しだけ伸びたぐらいまでになった頃、勢いよく帰宅を知らせた敦史が敦史がそのまま僕の部屋まで走ってきて
『見ろ!悠史!!』
って見せてきたんだ
『え!?敦史!?ど、どうしたのその髪!?』
