
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
あぁ
ちょっと楽になったかも
ゆっくり撫でる手に安心感を覚えて、身体の奥でまだチリチリと燻っていたものがおさまってくる
「敦史ありがと。もう大丈夫」
「あぁ」
敦史はそう言ったけど、まだ摩るのを続けてくれている
敦史の手
安心するなぁ
これも全部、千秋さんと一緒に手放すのか
「そんなキツかったか?」
「……え?」
「涙出てんぞ。どんだけ吐いたんだよ」
「あ……」
僕の目に滲んでいた涙がいつの間にか頬を伝って流れていて自分でびっくりした
「今日そんな飲んでたか?」
「あーー……いや、どうだろ」
「それか風邪ぶりかえしてきたかもな」
喋れるまで回復したのを確認したんだろう敦史が立ち上がって僕に手を出す
それに捕まって立ち上がると額に手を当てられた
「熱はねぇな」
「気持ち悪くなっちゃっただけで熱っぽいとかどこか痛いとかもないよ」
僕の言葉に「そう」と短く答えた敦史は額から手を離す時に軽く叩いてきた
「痛い」
「でも薬飲めよ」
「うぅん……」
ただのストレスだしいらないと思うんだけど
そんなこと敦史に言えないしなぁ
「飲めよ?」
「はい……」
