言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
いつも千秋さんが作ってくれるほどじゃないけれど、そこそこまともな料理を作って机に並べる
「すごい!美味しそうですね」
にこにこしている千秋さんに、僕も笑顔になる
「どうぞ、召し上がれ」
「頂きます……ん、美味しい!」
「良かった」
僕の作ったご飯を美味しそうに食べる千秋さんの手が暫くして止まる
「敦史さんは……どんな様子でしたか?」
「敦史?」
「はい。……今日、怒らせてしまったみたいなので……」
千秋さんは箸を置いた手を膝の上で握りしめた
今日一日ずっと気にしてたのかな
千秋さんのことだから、あの後ずっと気に病んでいたのかもしれない
「特に問題はありませんでしたよ。ちゃんと仕事もしていましたし」
「そう……ですか……」
しょうがない弟だな
まったく
「きっと、敦史も自分のせいだって気に病んでますよ」
「そんな……!僕が……っ」
自分のせいだ、と言い募ろうとする千秋さんを遮って微笑む
「千秋さんを傷つけて平気なわけがないでしょう?」
「!」
千秋さんがようやく気がついた、というような顔をした
「だから次に敦史に会った時にはいつも通り元気な千秋さんでいてあげて下さい」
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