
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
だが結局のところその後客を何度変えてもイライラは持続して、店が終わるまでは記憶もないぐらいただ時間を過ごすだけだった
店が終わって控え室で全員が着替えを始める中、悠史は俺と目も合わせずにさっさと出て行ってしまう
「はぁ……」
何度目ともわからないため息をついて店から出ると、さっきの客の女がしゃがみこんで携帯をいじりながら待っていた
「あっ!流星!待ってたよっ」
待っている間に化粧を直して香水も付け直したらしくすげぇ匂いがあたり一面に充満している
その女が俺の腕に抱きついてきた
俺の苛つきは最高潮で、何も喋ることなく歩き始める
「待って〜」
それでも何も気にかけないそいつは寒いだなんだと俺に話しかけながらついてきた
そしてホテルの部屋に入ると俺は早々にそいつに「シャワー浴びてこい」と言い渡してシャワールームに押し込んだ
俺はスーツのジャケットを脱いでベッドに座る
「はぁ……」
頭痛え
近くでずっと匂い嗅いでたからか?
あーーーくそ
「りゅうせいっ出たよ」
「あぁ」
暫くするとバスローブに身を包んだ女がシャワールームから出てきて、俺の横に座った
臭いは多少マシになったか?
「俺も入ってくるわ」
「うん!」
