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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


「……」


俺の酷い言い方に悠史は黙ってしまって、結局そのまま言葉を交わすことなく店に到着した


「流星さん、聖夜さんおはようございます」
「おはようございます」
「……」


後輩たちの挨拶を流しながら控え室に入ると、悠史はこれ見よがしに俺を避けてすぐに荷物を置いてどこかに行ってしまった


怒ってる、よな
流石に

考えてることわかんねぇし


「はぁ……」


着いて早々盛大なため息をついていると、俺の横にぴょこっと立つ人物が


「どうかしましたか?ため息なんて」
「あぁ、流か……なんだ?」
「なんだ?って……珍しくため息つかれてるので心配で……」


俺のジャケットの裾をちょん、と掴んだ様は他の奴が見たら可愛いとか思うんだろうな

俺は何とも思わねぇけど


「別に大したことねぇよ」


さり気なくジャケットを離させると、流は両手を強く握って必死に訴えてくる


「で、でもっ……お二人が出勤してからお話もされてないなんて珍しいじゃないですかっ……!」


悪いな流
俺今最高に虫の居所が悪いんだよ


「別にそういう日もあんだろ。いいからほっとけ」
「……っ」


俺が軽く睨んだからか、流はその後何も言わずにその場を去った

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