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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


ちょっと落ち着かねぇと
頭冷やせよ、俺


洗面所から戻ると、悠史が千秋を移動させて皿の破片を拾っていた

俺は溢れて広がった味噌汁を持ってきた雑巾で拭う


「敦史、それこっちね」
「あぁ」


ガラスの小さな破片が付いていたら危ないから、と使った雑巾はビニール袋に入れて捨てる

ある程度取ったら掃除機で欠片ごと吸い込んで、後はガムテープを使って細かいものもとって片付けは終了


「こんな時間になっちゃった……ご飯どうしようか」
「行きがけになんか買って行こうぜ」
「うん。そうしようか」


悠史がソファに近づくと、俺たちが片付けるのを大人しく見ていた千秋が顔を上げた


「晩御飯はちゃんと作って待ってますから……」


顔いっぱいに傷ついた表情を浮かべている千秋を悠史が慰める


「そんなに気にしないでください」


謝らなきゃいけないよな
俺が

あーくそ
本当バカなことしたな


「あーーー……千秋……」
「敦史さん……ごめんなさい……僕が……」
「いや……」
「今日はアフター行かれるんですよね。明日の朝ごはん、ちゃんと作ります……」


千秋は今にも泣き出しそうな顔をしているのに、先に謝られた俺は何も言えなくなった

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