
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
スリッパの音を響かせていなくなった千秋を見送っていた悠史が俺の隣に座った
「朝から機嫌悪いね?」
「お前らは朝から楽しそうだな」
「やっぱり機嫌悪い」と悠史がため息をつく
機嫌悪い、かもな
確かに
「……」
返事をせずに無言でいると、悠史は二度目のため息をついた
「……」
「……」
悠史も俺も無言で、重苦しい空気が流れている
その空気を打ち破るように現れたのは千秋だった
「お待たせしました……っ」
キッチンからデカイお盆に茶わんやらなんやら色んなもん乗せて小走りで来た千秋は
「あ……っ!?」
途中で躓いて
そのお盆をひっくり返した
「千秋さん!?」
「千秋!」
俺たちは焦って立ち上がったが、テーブルの反対側にいた俺たちには手を伸ばしても届かなかった
「痛っ……」
割れた皿の破片の上に手をついたらしい千秋から声が上がる
俺より早く駆け寄った悠史が千秋の横にしゃがみ込んだ
「大丈夫ですか千秋さん!?手から血が……」
「大丈夫です……ぅう……」
俺は救急箱を取りに千秋の側に行くのをやめて家の棚を漁る
俺が急かした……からか……?
くそ
