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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


「ん……」
「千秋?」
「ぅ……ん……」


瞼が小さく動いて、僅かな隙間から黒目が覗いた

何度か瞬きを繰り返した千秋はそこで漸く状況を理解したようだ


「あ……寝ちゃってました……か……ごめんなさい……」


シュン、と頭を垂れた千秋の額に軽くキスをする


「俺も寝てたから気にすんな。……やべぇな、もうこんな時間か……ふぁ……ぁ」


デカイ欠伸をした俺を見ていた千秋もうつったのか小さく欠伸をした


「ちゃんと布団で寝るか」
「はい」


付けっ放しのテレビを消して立ち上がると、玄関の方から物音


「あれ……?二人ともまだ起きていたんですか?」
「悠史」


俺たちが起きた時間は深夜と言うよりは明け方に近い感じで、帰ってくるのも納得出来る時間だった


「起きてたっつーか映画観てたら寝ちまってこんな時間ーー」
「悠史さんおかえりなさいっ」


俺が答えようとした言葉に被せ気味に千秋が話し始めて、悠史の意識も千秋に持っていかれる


「ただいま、千秋さん」


まだ鞄も持ったままだった悠史の鞄を嬉々として受け取りに行った千秋は今にもびょんぴょん跳ねそうな勢いだ


なんか…………俺の時と反応違くないか?

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