
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
「あ、僕これ宣伝だけ観たことありました」
「あの時はこの俳優が番宣で色んなとこ出まくってたからな」
そんな無駄話をしていると千秋が俺の隣に腰掛けた
ここまでのあらすじを聞かれたからそれにざっくり答えると、それ以降会話が途切れる
俺はそもそも沈黙とか気にしねぇタチだし
千秋も多分映画に夢中で特に気にならねぇんだろう
まぁ、こんなのもいいよな
映画のメインはアクションで、派手な動きに音がついてなかなか見ていて面白い
いや、そこでなんで一回転すんだよ
右の奴のボディ狙えたろ
あーあ、ほら
弱えなぁ
しかしその映画もアクションパートからヒロインとの恋愛パートに入ると急に退屈になって
『俺は……一緒にはいけない……』
『どうして!?一緒に逃げましょう?あの人には誰も敵わないわ!』
『でも……ーーーー』
俺は睡魔に負けて、そのまま意識を手放した
「…………ん……」
目が覚めるととっくに映画は終わっていて、テレビには穏やかな音楽と草原が映し出されていた
寝てたのか
肩が重い、と顔を向けてみると千秋も俺の肩に頭を預けて眠っている
やべ
「千秋、起きろ」
