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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


俺に負けじと頑張ってるのか、俺と同じ考えなのか
言葉で確認したわけじゃねぇからわかんねぇけど

とにかくまぁ指名が増えるのはいいことだ


「流星?今日アフターは?」
「悪いな。今日はアフター行かねぇんだよ」
「むぅ……最近流星ってアフター行かない時多いよね」
「悪い」


今日は俺の番だからな


客の酒を作って世間話をしながらそんなことを考えていると、黒服が俺の足元に跪いた


「流星さん、ご指名です」
「あぁ」
「えっ!?うそ!!短いよぉ」
「……悪い。またな」


「もぉ……謝ってばっかりじゃん……」というクレームを背に受けながら俺は席を立ち、次の客の元へ

今の困りごとは周囲からしたら羨ましいかもしれんが、指名が多すぎて1人の客に対応する時間が短いことだな



「帰ったぞ」


玄関からではなくリビングに入ってから声をかけると、ソファに座ってテレビを見ていたらしい千秋が跳ねるように振り向いた


「おかえりなさいっ」
「あぁ」
「今ご飯支度しますね」


そう言って立ち上がった千秋を目で追う


動きがなんかもう
可愛いよな


「ゆっくりでいいぞ」


俺がかけた声に振り向いて笑顔だけ向けて、すぐにコンロに火をつける音がした

ソファに座って携帯を開く
着信していた数々のメールに目を通したり返信したりしていると、千秋に声をかけられた

「用意出来ました」
「あぁ……さんきゅ」

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