
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
僕の部屋に移動するまでに仕事の話を少し聞きながら歩いた
「締め切りを伝え間違えていたみたいで、さっき連絡が来たんです」
「そうだったんですか。ミスはいけませんが、良かったですね」
「はい!」
部屋に入って千秋さんがいつもの位置に枕をセットしたのを見てから「消しますね」と電気を消した
ベッドの壁側に横になった千秋さんが布団を身体に巻きつけてごろごろと遊んでいる
可愛い
年上とは思えない
「ふふふ、千秋さん。そろそろ僕も横になっていいですか?」
「どうぞ」
僕が声を掛けると千秋さんは端まで転がってスペースを空けてくれた
横になると、千秋さんが巻きつけて遊んでいた布団で覆い被さるように僕に布団を掛けてくれる
ぼふ、と僕の上に倒れこんできて、埃が舞う
「わ……っと……」
こんなイタズラ?もしなかったのに
擽ったいきもちで布団の中に頭の上まで入ってしまった千秋さんが出てくるのを待っていたんだけど、なかなか出てこなくて「千秋さん?」と呼び掛けるとに漸くょき、と顔を出した
またそんな可愛い顔してくれちゃって
どうしたのかな
「えへへ」と笑みを漏らす千秋さんの唇に触れるだけのキスを落として離れた直後に唇を舐めると、千秋さんからもお返しのキスをされた
「おやすみなさい、千秋さん」
「おやすみなさい」
