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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


ぼんやり眺めながら食事を続けていると、千秋さんがこちらを見た


今度はなんだろう?


「どうかされましたか?」


微笑んだ僕に、千秋さんは目を逸らす


「?」
「そんなに見ないで下さい……恥ずかしいので……」


どうしたんだろう
本当に


なんかさっきからこんなことばっかり


「……お仕事されている姿は素敵ですよ?」


僕の言葉に千秋さんは恥ずかしそうに目を逸らす


「ありがとう……ございます……」


小さく呟いた千秋さんがまた仕事を再開する

千秋さんに甘やかされているような、甘えられているような不思議な感覚で、幸せな気持ちのまま僕も食事を再開した



「千秋さん、そろそろ寝ましょうか」


お風呂から上がってリビングを覗くとまだ仕事をしていた千秋さんに声を掛ける

僕の声に顔を上げた千秋さんがほわ、と笑う


「はいっ」
「お仕事はもう大丈夫なんですか?」
「大丈夫です。さっきのはコラムみたいなものなのですぐ終わりましたし、忙しいと思っていたのは田中さんの連絡ミスだったみたいなので」


仕事の連絡ミス?


「そうですか。良かったですね」


千秋さんは大きく頷いた

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