
言葉で聞かせて
第12章 忘れられないこと
なんだ?なんて言ってやがる……?
俺がもう少し、とそいつらに近づくと悠史が声を荒げた
『ーーっだから!!敦史はもう喧嘩しないって言ってるだろ!!!だから手出すな!!!』
悠史が他人に対して声を荒げるなんて珍しい
それに年上に対して敬語を外すなんてもっと珍しい
でもそんなことじゃない
あいつらが話してるのって俺のーー!?
悠史が声を荒げると、相手の男たちも声を荒げた
『ざけてんじゃねぇよ!!俺らがあいつにどれだけやられたと思ってんだよ!?そんな理由で引くわけあるか!!』
なんだ?
何が起こってる?
『……僕を、代わりに殴れよ……』
『あぁ!?』
『僕なら敦史と顔がそっくりだから、殴ればそれなりに鬱憤が晴れるだろ……』
悠史!?!?
あいつ何考えてーー!?
混乱は最高潮で、俺はその場から一歩も動くことができない
『へぇ?それじゃ、やらせてもらおうかな』
悠史に手の骨を鳴らしながら男達が近づく
それでも悠史は臆することなく相手を挑発するような声を出した
『見えるとこはやめてね?君達だってバレて退学なんて嫌でしょ?』
『……いい度胸してんじゃねぇか……』
