
言葉で聞かせて
第12章 忘れられないこと
一人で家に帰り、適当に漫画を読みあさっていたら突然母親が部屋に入ってきた
『ねぇ敦史、悠史知らない?』
『知らない……けど』
帰ってないのか?
最近あいつ友達と遊びに行ったりなんかしてねぇのに
『携帯にも電話してもでなくて……探しに行ってくれない?』
なんで俺が
と思ったが、悠史がいないと俺も何かと不便だ
俺は
『わかった』
と立ち上がった
『チッ……あいつどこにいやがる……』
実家の近くにある悠史のよく行く本屋も、ウチの生徒が溜まってるゲーセンも行ってみたがどこにもいない
結局探しているうちに学校にたどり着いた
放課後とは言ってもまだ夕方で、運動部の奴らは部活に励んでいる
下駄箱に靴がないことを確認してとりあえず校舎の周りをうろうろ回っていると、校舎の裏で何か言い争っているような声が聞こえた
本当にいるのか
こんなとこで争ってるやつ
興味本位で顔を覗かせてみると、そこにいたのは俺が以前喧嘩してボコボコにした二つ上の先輩数人と悠史だった
あいつ何してんだ?
なんとなく物陰に隠れながらそいつらの会話を伺う
『ーーしは、もーーーはしません』
『はぁ?あいつがーー……』
