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言葉で聞かせて

第12章 忘れられないこと


次の朝いつもより早く目の覚めた俺はリビングに行くより早く悠史の部屋に行った

寝てたら困るから、と静かに扉を開ける

すると既に悠史はベッドから起き上がり汗をかいたであろう服を着替えていた


「びっくりした。敦史か」
「あぁ。悪いな。寝てるかと思った」
「大丈夫。なんかもう熱もないしすっきりして、目覚めちゃった」
「そうか」


嘘ではなさそうだな


俺は近づいて悠史の額に手を当てる


ん、本当に下がったっぽいな
顔色もいいし


「良かったな。仕事は?」
「今日は行くよ。お店にも悪いし、千秋さんも僕に気を遣ってないで一人の時間が必要だろうし」
「そう」


俺達は揃って部屋を出てリビングに向かった


「おはようございます、千秋さん」
「はよ」
「おはようございます!体調は如何ですか?」
「大分いいです。ご心配おかけしました」


「よくなって良かった」と微笑む千秋は若干だが疲れた顔をしていた


あんまり寝れなかったっつー顔だな
俺らが仕事行ってる時少しでも休めりゃいいんだが



俺たちはいつも通りを心掛けながら朝の支度をして家を出た
昨日のことも今日のことも全く口には出さなかった

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