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言葉で聞かせて

第12章 忘れられないこと


俺の膝の上にいる千秋が、さっき泣いていた時よりも震えた


「そ、それ……って、どういう……っ」


動揺しているのか、千秋は歯の根の噛み合わない状態で話す

一旦落ち着け、と優しく髪を撫でると少しだけ震えが収まった
悠史も手を伸ばして千秋の背中をさすっている


「……千秋さん。酷なことではありますが、僕たちの話に耐えられない人はきっとたくさんいます。気持ち悪い、と逃げてしまう人も。だからこそ、この話をするには僕たちも覚悟がいるんです」
「……ぁ……っ」


僕たちにも覚悟がいる、という悠史の言葉に千秋は今気が付いたような声を出した

千秋の反応にふ、と優しく微笑んだ悠史は俺に視線を向ける


ーー敦史は、話すつもりなの?

ーー……話した方がいいのか、話さない方がいいのか、俺にはわからねぇ。でも、聞くのはこいつだ。俺は話そうが話さなかろうが変わんねぇから、千秋に決めてもらおうと思っただけ


悠史が一瞬視線をそらす
何か考えているんだろう


ーー確かに、そうだね。過去は変えられないんだし。もう僕たちにはどうしようもない

ーーあぁ



「僕……失念してました……自分の隠したい過去を話させることで、二人にも負担をかけるって……」

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