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言葉で聞かせて

第12章 忘れられないこと


だからお前が背負う必要なんてないんだよ、千秋


俺たちだけの世界、ね
そりゃあるだろうな

誰にもわからなくていいなんて考えてんだから、そりゃ二人だけって思われてもしょうがねぇ


「……」


俺は何て言えば良いのかわからず、黙ることしか出来ない

すると、薬を飲んで横になっていた悠史が身じろぎをした


起きんのか?


俺が手を貸して悠史が上半身を起こすと、悠史は俺に小さい声で「ありがとう」と言った


「千秋さん」
「はい……」
「うつってしまいそうで本当はいけないんですが、今はしょうがないので……こちらに来て下さい」


悠史が手招きすると千秋が少し躊躇った様子を見せたが、立ち上がって悠史に招かれるままベッドに腰掛けた


「千秋さん……千秋さんも察していらっしゃる通り、僕たちには誰にも言えない過去があります」


ーーおい

ーー黙ってて


「…………はい……」
「それは、家族であっても話せることではありません。……姉さんは偶然知ってしまったけれど、僕たちの両親は何も知りません」
「……」
「それだけ僕たちの抱える過去は重いから、大切な千秋さんにそんなもの背負って欲しくないんです」

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