
言葉で聞かせて
第12章 忘れられないこと
安心した顔の千秋は薬と水を置いてカーペットの敷いてある床に座った
「……二人に見られながらだとちょっと食べにくいですね……」
「あっ……ご、ごめんなさい……」
「余計なこと考えてんな。いいから食え」
変に恥ずかしがる悠史に全く違う反応をする俺たち
俺は別に人が食ってるのを見てるのも退屈だ、と悠史の部屋に置いてあった雑誌を捲る
部屋に響くのは悠史の食事をする音と、俺が雑誌を捲る音だけ
千秋は何でか座ったまま何をするでもなく動かなかった
「ーーご馳走様でした。美味しかったです」
大した量じゃなかったせいもあって悠史は20分とかからずに食事を終えた
「ん……食い終わったか。ほら、それ貸せ」
「はい。ありがと」
「それ、薬、飲めよ」
「うん」
俺が悠史からお盆を受け取ってくすりを飲むように促す
悠史は俺に言われた通り薬を水と共に胃に流しこんだ
するとそこで千秋が
「二人は……本当に仲が良いですよね……」
と言い出した
なんだぁ?今更
「千秋さん?」
「……僕にも兄がいますけど、兄弟って普通お二人ほど仲良くないと思うんです……」
おい
「…………何が言いたい?」
低いトーンの俺の声に千秋が肩を震わせる
