
言葉で聞かせて
第12章 忘れられないこと
「了解」
「ちょっと柔らかめに炊きますけど、それでいいですか?」
「あぁ」
千秋に横から「上手い!」とか褒められながら俺達は料理を続けた
何にも聞いてこねぇな
気になってるってのはわかるんだが
くそ
なんでこんな時に体調なんか崩してやがる
悠史のやろう
「これで……ーー出来ました!」
「病人食とは思えねえほど普通に美味そう」
「えへへ……やったぁ」
褒められて嬉しそうな顔をする千秋の髪をぐちゃぐちゃに掻き回す
可愛い
「じゃ、熱いうちに悠史んとこ持ってくか」
「はい!……あ、僕薬出して行くんで先に行ってて下さい」
「わかった。じゃあこのお盆だけ持ってくな」
「お願いします」
俺はお盆を持ってノックもせずに悠史の部屋に入った
「入るぞ」
「うん……わぁ、すごい。美味しそう」
「だよな。俺が食いたいわ」
「ふふっ、だーめ。これは僕用に千秋さんが作ってくれたものなんだから」
「いいよ。俺は別の千秋に作ってもらうから」
「えーずるい」
今度はズルいかよ、と悠史と笑い合っていると千秋が部屋に入ってきた
「千秋さん。ありがとうございます。とっても美味しそうです」
「食べれそうなら良かったです」
