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言葉で聞かせて

第12章 忘れられないこと


取り残された俺たちは三人黙ったまま


フォローはいいんだけどよ、この置いて行き方はないだろ


「……」


くそ
千秋もなんか不安そうな顔してるし


「……飯、食うか。悠史腹は?」
「減った、かな」
「よし。じゃ、千秋飯作りに行くぞ」
「……ぁ……は、はいっ」


俺が腰掛けていたベッドから立ち上がり千秋を連れて部屋を出ようとすると、悠史に「あ……敦史」と呼び止められる

俺は千秋を廊下に押し込んで「なんだ?」と悠史と目を合わせた


ーーわざわざ千秋さんに言うことじゃないからね

ーーわかってる。千秋まで背負わなくていい

ーーうん


千秋が何もわかってない顔で俺を見上げている


「ん?あぁ、待たせて悪かった。行くぞ」
「はい……?」


千秋が何も言ってこねぇのをいいことに俺はそのまま千秋の背中を押してキッチンまで連れ込んだ


エプロンを着けた千秋が俺を見上げる


「じゃあ……えと……」


視線を彷徨わせている千秋に俺は軽く笑って「何すればいい?」と訪ねた

すると表情を明るくした千秋が「じゃあ、お米測って研いでもらえますか?」と言ってくる


「あぁ。何合?」
「あ、と……2……いや、3で」

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