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言葉で聞かせて

第11章 記憶


とりあえず家にいることに一安心して、敦史に報告


「敦史、千秋さん家にいるって」
「そうか」


そう言った敦史もどこか安心したような顔をしている


「良かったね。早く帰ろう」
「あぁ」
「えぇーー!?聖夜さん帰っちゃうのーー!?」
「流星さんも、帰ってしまうんですか?」
「えぇ。すみません」
「おい、くっつくな」


僕達はさっさと支度をして、楓くんや流くんの惜しむ声を聞き流しながら家に帰った

外の窓から家に明かりが灯っているのを確認してエレベーターに乗り込む

鍵を開けて中に入ると、良い匂いが漂ってきた


夕飯の匂いかな
作ってくれたんだ

良かった


「「ただいま」」


僕達がリビングに声をかけると、千秋さんが廊下に顔を出した

「おかえりなさい」と微笑んでくれたけれど、その笑顔はどこか固く感じる


「?」


僕が「どうかしましたか?」と尋ねようと口を開くと、言葉を発する前に敦史に背中を軽く押された


「……」


早く入れって意味かな
まぁ今ここで聞いてもね

結局僕は大人しく靴を脱いで家に上がった

リビングの机に用意されていたいつも通り美味しそうな食事を見てなぜか安心感を覚える

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