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言葉で聞かせて

第11章 記憶


その安心感が何から来るものなのかわからないままで、とりあえず席についた

すると千秋さんが僕たちをじ、と見つめている


「千秋さん?」


僕が話しかけるとはっとした様子の千秋さんは「なんでもないです」と言う風に首を横に振った


「食うぞ」
「うん。頂きます」


と、僕達が食事に箸をつけるのをまた千秋さんはじっと見ている


なんだろう?
今日朝早くに出て行ったことと関係があるのかな


食事を終えてテーブルで食後のお茶を飲んでいると、千秋さんは少し険しい顔で紙を差し出してきた


『あの人たちはどうなったんでしょうか?』
「あの人たち?」
「傷はちゃんと治るそうなので心配ないですよ」


僕の返答に最初わかっていなかった敦史も千秋さんを困らせていた人達のことだとわかったのか「あぁ……」と声を漏らした


「ま、当分社会復帰は厳しいだろうがな」
「そうだね。でも、それなりの事をしたわけだし」
『真菜さん は?』
「真菜?ってあの女か?」
「そう。あの人はまた警察のお世話になっていますよ。流石にもう千秋さんに近づくことは出来ないと思われますので、そちらも心配いりません」


僕の返事に千秋さんは俯いた

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