
言葉で聞かせて
第10章 再来
現場検証をした警察から場所を知っていた俺たちは車で現場の近くまで行き、コインパーキングに駐車した
「この辺か」
「うん」
俺が辺りを見回していると、悠史に肩を叩かれる
ーー敦史。僕たちは千秋さんから離れたほうがいい
ーーあ?なんでだよ?
ーー僕たちは顔を知られてるから。近くにいたら千秋さんが僕たちに何か話したんだと勘違いされるかもしれない
ーーなるほど
「千秋さん、ちょっと車に忘れ物したので取りに行ってきます」
悠史は早速用事をつけてその場を去る
俺は悠史が消えた方向を確認してどうするか考えた
「千秋、悪い。俺飲み物買ってくるわ。悠史戻ってきたらそう言っといてくれ」
俺も悠史に続こうと千秋にそう言うと千秋は記憶がないからかどことなく不安気な顔をする
「……心配すんな。じゃあほら、これ持っとけ。なんかあったら悠史の携帯に電話かけろ」
すると千秋はメモ帳に
『電話しても、僕は話せないですよ?』
と書いた
「大丈夫だよ。かかってきて無言だったら異常事態があったって馬鹿でもわかんだろ」
俺の言い方にくすくす笑った千秋は『わかりました。早く戻ってきてくださいね』と言った
