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言葉で聞かせて

第10章 再来


「あ?」


部屋を出ようとすると悠史に呼び止められて振り向く


「僕たちが精一杯気をつければ大丈夫。今日何も起きないよ」
「……あぁ」
「守るんでしょ?」


退院直後に千秋に言った言葉を反芻され、俺は気を引き締める


全部守ってやる
そんで、取り戻してやる


「……僕も、頑張るからさ」


悠史が目を細めて微笑んだ

俺は返事をせずに踵を返して自分の部屋に戻る

悠史に渡された地味な服装を身に纏いながら


千秋を傷つける奴全員、俺がぶっ殺してやる


と気合を入れた



「そろそろ行きましょうか」


自分の洋服箪笥から自分のかわからないと言いながら服を選んだ千秋はどこか楽しそうだ


「なんか楽しそうだな?」


と声をかけると


『友達と出かけるなんて久しぶりなので。』


とメモに書いて見せてきた
しかし千秋は直後に「はっ……」と何かに気がついたような顔をして俯く


「?」


俺が首を傾げていると悠史が横で「ふふっ」と笑った


「僕は友達だと思ってますよ?千秋さん。僕たちは貴方より年下ですけど」


悠史がそう言うと千秋は顔を赤くして嬉しそうに笑う


『僕は自分が25歳だなんて思えないので、僕こそ年上の方に対して失礼なことを言ったと思いました』


そんなこと気にしてたのか

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