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言葉で聞かせて

第10章 再来


俺がようやく見れた千秋の微笑みに安心していると、悠史が千秋に微笑んで


「千秋さん、お風呂沸いてるのでお先にどうぞ」


と言った

千秋は『いいんですか?』と遠慮していたが、悠史が「お疲れでしょうから」と勧めると席を立った


千秋が部屋から着替えをとって浴室に入ったのを見送ってから俺は悠史に向き直る


「どうした」


俺が聞くと、先ほどまでの笑みを消した悠史が机の下からとりだしたのは1通の封筒


「それ……」
「そう。さっき玄関に落ちてたって言ったやつ」


悠史は俺にその封筒を手渡す


「それ、宛名がないんだ」
「へぇ?」


俺は封筒を回してざっと見てみるが、確かに何も書いていない
宛名どころか消印もない


「消印もないし、直接入れに来たんだと思う」
「ストーカーか?」
「わかんないけど、あり得なくはないよね……」


勘違いした女の迷惑行為は今に始まったことじゃないから別に驚くほどのことでもない


「前、千秋さんに迷惑をかけた時女性が原因だったでしょう?今回ももしかしら……って」


だから千秋を風呂に入れたのか


「近づくな、みたいな手紙が入ってるかもしんねぇってことだよな?」
「うん」

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