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言葉で聞かせて

第10章 再来


家に帰って自分の部屋に案内すると千秋は本棚やらパソコンやらを物色し始めた

突然連れてこられた自分の部屋に困惑しているんだろうか


俺と悠史はとりあえず千秋を放ってリビングに戻る
悠史がコーヒーを淹れて来てソファに座った俺に渡した


「はい」
「サンキュ」


ーー意外と落ち着いてんな

ーーそうだね。僕の話をちゃんと信じてもらえたのかもしれない

ーーかもな


千秋が戻ってくるまで特にすることもないから、とのんびりカップに口をつけていると
暫くして一通り見終わったのか千秋が戻ってきた


「何か思い出せましたか?」


悠史の質問に千秋は首を横に振る


「そうですか。ゆっくり思い出して下さればいいですからね」


悠史が微笑むと千秋は自分の部屋から持ってきていたメモ帳に『ありがとうございます』と書いた

それからは千秋からされた最近の自分の様子はどうだっただのという基本的な質問に二人で答えた



『僕、お二人に結構お世話になっていたみたいですね』


と控え気味に微笑んだ千秋からは若干の遠慮みたいなものが感じられる


「僕たちの方がきっとお世話になっていましたよ」
「そうだな。家事はほとんどやってもらってたからな」

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