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言葉で聞かせて

第10章 再来


最初は警戒した様子だったが、記憶障害の話やら千秋の兄の話を聞かせてやると徐々にだが警戒を解いた


「ーーなので信じられないかとは思いますが、現在貴方は25歳で僕たちと一緒に暮らしています」
「……」


何を考えているかわからない表情で悠史を見上げる千秋は仕草なのかなんなのか若干幼く見える


まぁ俺たちより精神年齢は年下ってことだからな


一通り話を聞き終わると千秋はジェスチャーで紙とペンを持っていないかと聞いてきた


『それじゃあ貴方達は今僕の義兄ということですか?』
「いえ。先ほど説明した通り実年齢は僕たちの方が年下なので義弟です」


千秋からも俺たちは年上に見えているらしい


『そうですか』
「……なので、今日は退院したら僕たちと同じマンションに帰ることになりますが宜しいでしょうか?」
『わかりました。申し訳ありませんがお世話になります』


千秋はベッドに座ったままで深く頭を下げた


あんまり変わんねぇな
無駄に気を使うところとか

このテンポの悪い筆談も
会った時となんら変わらねぇ


しかしまぁ
昨日みてぇな混乱が無くて良かった


「退院の手続きは済んでいますので着替えが終わったら出ましょうか。僕たちは病室の外で待っていますね」


千秋が頷いたのを見届けてから俺たちは廊下に出た

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