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言葉で聞かせて

第10章 再来


「わかりました。では明日また伺います」


「失礼します」と悠史が会釈をして立ったから俺もそれに続く


「おい悠史。なんでお前ーー」


わかったんだ、と聞こうとする前に悠史の顔を見て言葉が詰まった


なんだよ
そんなに苦しそうな顔すんな


俺は悠史の背中に手を当てて撫でる


「身体には異常ねぇんだろ?大丈夫だって」
「そう、だよね……」


想像以上にダメージを受けている悠史が落ち着くのを待つ
しばらくすると悠史が話し始めた


「僕が5年前に戻ったって断言出来たのは、顔も知らないはずの僕たちに千秋さんがあそこまで過剰反応したからだよ」
「どういうことだ?」
「僕らの服」


俺は自分の服装を確認した


「あ……」


スーツ
だがそれは仕事に向かうそれとは違い派手なもの


そうだった
千秋は、ホストに

くそ
そういうことか


過去に俺たちと同じ仕事の奴らに陵辱された千秋は多分俺たちをそいつらと同じだと勘違いしたんだろう


だから、金差し出してきたのか


「これは確かに、きついな」
「うん……」


明日、あいつを俺たちの家に帰らせていいのか?
また怯えさせちまうんじゃねぇのか

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