テキストサイズ

言葉で聞かせて

第10章 再来


「……うっ……」
「これで全員終わった?」
「あぁ、多分」


どれくらい、何人、何回
何にもわからないけれど、漸く終わったみたい


泣かなかった
僕偉い


撫でてくれる手が欲しいけど、1番触れて欲しい人はここにいない


僕がぼーっとしてる間に男達は「じゃーな」「また金用意しとけよ」と言いながら去って行ってしまった


僕も帰らなきゃ


腰はガクガクだし中に出されたものも洗えないし
最悪な状況で歩く


頭痛い


自分でもわかるくらい足がフラフラする
目の前も白く霞む


道路に出て漸く自分の状況を理解して、涙がぼろぼろ出てきた


悔しい
ちょっと前まで幸せだったのになぁ

僕の過去が全部消えちゃえばいいのに
そしたら何にも考えずにあの人たちの側で笑えたのに


フラフラ歩いていたら後ろから来た人に「おい、邪魔だよ」と言われてしまって「すみません」と避ける

そしたらそっちにも人がいて今度はぶつかってしまった


「あ……ごめんなさい……」


そう謝って動いたら近くから大きな音が聞こえた
それが車のクラクションだってことにすぐに気がついたし、自分が車道に出てたってことも気がついた

けど


もういいかも


なんて一瞬思ってしまったから避けられなくて
次の瞬間には僕の目の前は真っ暗だった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ