
言葉で聞かせて
第10章 再来
意識が戻ると、すでにそこには誰もいなくて
僕は内心ほっとしながら起き上がった
痛っ!!!
犯された時の腰と、殴られた傷の痛みに身体を揺らしたけれど
「痛い」と言ったはずの言葉は口から出て行かなかった
「……」
声、また出なくなっちゃった
だめじゃん僕
ゆっくりと身体を動かしてベッドの下に散らばっていた服を集めて身につける
最初に通された部屋に入ると机の上には書き置きがあった
『こんなちーちゃんの姿見たら嫌われちゃうね?』
一緒に置かれていたのは後ろにも口にも男たちの性器を咥える自分を写した写真
「!!」
僕は見ていられなくてすぐに写真を破った
何も考えられなくて、とりあえず時間を確認
時刻は深夜
時間的にはもうすぐ2人が帰ってくる頃
帰らなきゃ
真っ白な頭でとりあえずその場を離れることだけ考えて、マンションを出た
大通りに差し掛かったところで丁度来たタクシーに乗り込んだ
携帯に打って住所を伝えると運転手さんはルームミラー越しに僕を見て心配そうな顔をする
「お客さん大丈夫?服汚いけど」
あ……
大丈夫です、と微笑むと運転手さんはそれ以上何も聞かずに家まで運転してくれた
