
言葉で聞かせて
第10章 再来
多くの人からの視線にさらされて指一本動かすのも怖い
何が相手を刺激して
次の瞬間自分がどうなるのかがわからないから
「……っ」
「震えちゃってるよ?」
「なにそれかわいーじゃん」
そんな風にからかわれても何も言い返せない
悔しい
すると僕をするりと避けて行った真菜さんが1人の男の人の横に行く
「こいつが?」
「うん、そう」
その男にする、と腕を組んで話をしている
その人がリーダーなのかな
見た目がなんだか最近の若者らしい
明るい茶髪に金色のメッシュが入っていて、ワックスで固めている
耳にはたくさんのピアス
周りの男の人等も同じように明るい髪色に派手な髪型をしてる
そういう人たちに囲まれるのも二回目
服装は私服っぽいけど……もしかしてまたホスト?
真菜さんは今度は首に手を回して強請るような表情を向けている
「ねぇ、潤(ジュン)?私ちゃんと連れてきたの。偉いでしょ?」
「それは、そいつ次第だな」
潤と呼ばれたその人が顎で僕を指す
「お前『ange』の聖夜と流星の女なんだって?」
「……」
「俺らが働いてる店もホストクラブなんだけど、あいつらにすげぇ迷惑してんだよね」
